島の川とホタルの現状

久米島で、米づくりが盛んだった頃、幼虫時代を水の中で過ごすクメジマボタルは、島の人々の子守歌にも歌われ親しまれていました。

しかし、現在は極めて少なくなりました。

 

その原因は、水田を中心とした里山環境が、赤土とともに肥料(土壌)や農薬が大量に流出する農耕地へと変化したことや、生活排水・産業排水の不適切な処理、危険な化学物質を含んだゴミが長期間にわたり投棄され続けてきたという事実が挙げられます。

 

残念ながら赤土の影響のない川は、島ではほとんど見られません。そして、その赤土の流出は海まで広がり、年々深刻になっています。


水辺再生基金の目的

2006年から、久米島ホタルの会とホタレンジャーの子どもたちは、再び、クメジマボタルの飛び交う川に飛び込んで、エビやオオウナギと共に生き、遊ぶ事を目標に、ゴミ拾いや赤土の現状調査や流出防止のための植栽など、具体的な行動を起こし、活動を続けています。

 

陸地(ほたる)から始まる環境破壊を最前線でくい止めていくことは、破壊されたサンゴの海を確実に復元することに結びつきます。

 

それは、この島の最大の魅力である、海の環境を守る事にも繋がり、そうした暮らしを愛する人々を大切にする事にも繋がります。

 

こうした活動に加え、久米島ホタル館の近くを流れる浦地川を対策モデルとして、川に溜まった赤土を取り除く活動を広げていくために、2015年度9月に、水辺再生基金を設立し募金活動を行います。

募金の使用目的

●赤土流出の防止や発生源対策作業

●流出した赤土や不法投棄ゴミの回収作業

●河畔林を再生するための在来植物の増殖と植栽

 

多くの方々の努力がみのるのは、この先5年、10年の年月を必要とするかもしれません。しかし、いずれは赤土が流れなくなる日が来ると信じて、今できる事を、一歩一歩、頑張ります。多くの方のご支援をよろしくお願いします!

募金についてのご報告は、HPにて行います


ご挨拶

 

当サイトにご訪問いただきありがとうございます。

 

私は、去る4月1日に久米島西中学校へ赴任いたしました。

久米島での勤務は20代の頃からの夢で、30年来の思いがやっと叶いました。

久米島を切望した理由は、自然や歴史・文化に富んだこの島で、

私自身啓発を受けたかったのです。

 

このような小さな島から仲原善忠先生や大田昌秀先生、

宮里静湖先生等の偉大な人物を輩出し、歴史や文化では、

おもろそうしに「唐や大和の船が銭・黄金を持ち寄せる城」と詠まれている

宇江城の城主末裔・上江洲家が地域に製法を伝えた久米島紬、

生物ではクメジマボタルやキクザトサワヘビ、クメジマツツジ等々、

「ひと・もの・こと」に溢れた魅力ある島なのですから。

私は、10数年前から本島中南部でホタルやオカヤドカリ、

オカガニの観察会を行っています。そこで親子に話すことは、

「今日ここで皆さんはホタルやオカヤドカリ、オカガニを観察し、

感動を覚えるでしょう! しかし、20年後・30年後

皆さんがお父さんやお母さんになったとき、

皆さんの子ども達に今日のような感動を味わわせることができますか?」

と問いかけます。

 

同じような体験を子や孫に伝えていくためにも、今ある自然を守ること。

さらに、生活と自然との共存を図ることを考えてくださいと話してきました。

久米島も同様だと思います。

 

クメジマボタルをはじめ、久米島の生き物は「島の宝」です。

その宝を生かして、久米島の生活を成り立たせていくことは、

持続可能な社会をつくることになると思います。

 

久米島ホタルの会を通じて、会員のみならず、島の人みんなで自然を感じ取り、

久米島の宝を守り、自然を生かした社会の形成ができる

大人や子ども達を育んでいきましょう。会長として一助となればと思います。

 

                久米島ホタルの会 会長 島村 一司